映画「鬼滅の刃」が空前の大ヒットとなっています。園の中でも子供達は夢中で、同作品の登場人物の絵を書いたり、小物を作ってごっこ遊びに興じています。
いつの時代もそうですが、子供が夢中になる物語には多少の「粗暴な表現」があります。『週刊少年ジャンプ』に代表される少年漫画は「バトルもの」と呼ばれる登場人物が戦い、その中で成長する主人公の物語が中心となっています。
そんな物語に夢中になる子供たちを見て、大人たちの中に「このような残酷な表現を見て、子供達に悪い影響があるのではないか」と心配し始める人があらわれます。「鬼滅の刃」に対しても、そのように感じる人は少なく無いようです。
1950年代にも同様の心配をした大人たちがいて、1955年には「青少年の健全な育成と保護のため」として「悪書(有害とされたマンガや雑誌など)」を集めて燃やしてしまうことまで行われました。燃やされた本の中には、今では名作とされる手塚治虫の作品も多く含まれていたそうです。
しかし現在では数多くの研究から、「有害な作品に影響されて犯罪が増える」という事実は無い、と結論づけられています。
むしろ今は、空前の少年犯罪が少ない時代とされ、子供達はより健全に育っていると言えそうです。
「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎は、真面目で一所懸命、妹思いで友達を大切にする優しい男の子です。それが今の子供たちが憧れるヒーローなら、むしろ多少は影響されてもいいのではないかな、と考えたりします。
いずれにしても、子供達により大きな影響を及ぼすのは、物語ではなく、目の前にいる我々大人であることは自明ですので、ごっこ遊びに夢中な子供たちを暖かい目で見てあげてください。