困っている子が救われるということ

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5月が終わり、3ヶ月目の6月が始まりました。
保育園にとってこの2ヶ月は、新しい環境の中で子どもたちに安心して過ごしてもらうための試行錯誤を行ない続ける時期です。

3月と比べると、4月に新しい保育室に移り、また新たに入園した子どもたちも加わることで、環境が大きく変わります。
年長児、年中児になると、自分たちが小さい子たちを守ってあげなくては、という自負心を持ったり、3歳未満の子どもはそれまで認識していなかったものを理解し始めて戸惑ったり、という成長ならではの様子が見られたりもします。
その様子を総じて観察すると、落ち着きがなく、また騒がしい姿として印象を受ける場合もあると思います。

ここで「静かにしなさい」「ちゃんとしなさい」と全体に向かって言ってしまいそうになるのですが、その状況の起点となっている子どもはごく一部、多くの場合はたった一人の場合がほとんどです。
ではこの「困った子」をどうにかすればいいのでは? と考えられるのですが、この「困った子」こそ、いろいろな困難と向き合っている「困っている子」なのです。

困っているからこそ、それを知らせるために周囲に困った状態を作り出してしまう、それを切り離してしまってはその子を誰も助けてあげられません。他の子ども達もその様子を見ています。いずれ自分も困ってしまうかもしれない、その時大人がどうするか、それを観察しています。
困っている子が困っていることを知ってもらって、それを助けようとする大人がいる、ということがどれだけ救われた気持ちになるでしょうか。

今井保育園では臨床心理士・公認心理師である富田賢史先生にご協力いただき、4〜6月の子ども達の観察を行ない、毎月それぞれの特性に合った保育ができるよう検討を重ねています。

子どもたちの困りごとを知り、その助けとなるように、またその様子を見て、困っていなくても安心できる場所にいることを子どもが信じられるように、保育全体を考えています。

園長 橋本貴志