園長コラム「考古学する」

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今井保育園の園名の由来は立地する地名から、というのはご存知のことと思います。(たまに私の苗字と思われて「今井先生」と呼ばれることがあります。笑)

今井という地名は、かつてこのあたりを領地にしていた今井氏(児玉党)の名前から取られたとされています。今井保育園は薬王寺の本堂に開設されましたが、「薬王寺保育園」とはせずに地名を冠したことに、設立者である初代園長橋本光史と初代理事長吉田道雄の、末長く当地に根付くようにとの思いが込められていると考えています。

今井はそもそも「今井村」でしたが、明治時代に近隣の村々が合併し霞村になり、昭和に入って太平洋戦争後、町村合併で青梅市に編入されました。
「青梅」という地名は市内天ヶ瀬町にある金剛寺境内の「金剛寺の青梅(東京都指定天然記念物)」の平将門誓いの梅の伝説に由来します。青梅市民であれば小学校で習いますね。(詳しくは青梅市のホームページをご覧ください。)

さて問題は青梅市が属する多摩地区の「多摩」です。じつはこの地名、「多摩川から取られたらしい」と言うこと以外、何もわからないそうです。
延喜式(927年完成)という古い法典に記載されているので、10世紀ごろには間違いなくあったことが確認できます。しかし、その由来となった多摩川をどうして「たまがわ」と呼ぶのかは全く判然としません。
きっと当時の人たちに聞けば「なんで多摩川と呼ぶのかって?そんなの決まってるだろ?それはな・・・」と当たり前のように教えてくれるでしょう。時代とともに忘れられていき、今では知っている人は誰もいない、ということになりました。実に残念なことです。

こんな例は全国どこにでもあると思います。地名に限らず、どうやって使うのかわからない道具や、由来がわからないお祭りや風習なども同じ類と思われます。
そういったものを「つまらないもの」と簡単に捨ててしまうのではなく、あれこれ調べたり考えたりするところに面白さがあります。文書に残らないものを研究する学問が「考古学」ですので、これも考古学の一端でしょう。
ひょっとすると家の中に「考古学する」ものがあるかもしれません。ちょっと興味を持って調べてみてください。おもしろいことがわかったら、教えていただければ幸いです。

園長 橋本貴志