園長コラム「デマ対策」

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100年前、1923(大正12)年9月1日11時58分32秒に相模湾北部を震源として発生した地震は、推定マグニチュード7.9、東京府と神奈川県、千葉県にまたがる広い範囲で建物の倒壊や火災、地滑り、土石流などを引き起こしました。
亡くなった人は105,385名におよび、電気・水道・道路・鉄道などのライフラインも大きな被害を受け、その後の社会に長く暗い影を残すことになります。

これが関東大震災の概要です。

関東地方ではこれより前に1703(元禄16)年の元禄地震がおこっており、およそ200〜400年の間隔で巨大地震が発生していると考えられています。
近代化がはじまったばかりの東京ですら、復興に多大な労力と費用がかかったのですから、現代の高度に発達した東京を中心とする都市が同じような規模の地震に襲われたとしたら、比較にならないような被害が起こるかもしれません。

阪神・淡路大震災(1995(平成7)年1月17日)、東日本大震災(2011(平成23)年3月11日)の体験は、まだ記憶に新しい方も多いと思います。これらの体験から街を整理して道路を広げ、建物を地震や火災に強くし、防災用品を備えるなど対策を重ねていますが、ひとつだけ、対策がなかなか進まない事柄があります。

それは「デマ対策」です。

関東大震災の際、「関東大震災時には横浜などで略奪事件が生じたほか、朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火するといった流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じた」(内閣府「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書『1923 関東大震災【第2編】』平成21年3月」より抜粋)ことは、デマによって生じた犯罪です。

阪神・淡路大震災では「人工地震による災害」、東日本大震災では「人工地震」に加え「事故を起こした原子力発電所から放射性物質が飛んできて、関東は人が住めない場所になる」などといった、まったく根拠のない流言・噂話がまことしやかに伝播し、これによって傷つけられた人々が多数存在しています。

状況がわからない中で不安な気持ちになり、少しでも安心できる情報はないかと右往左往するうちに、逆に不安と恐怖をあおる情報ばかりを集めてしまう、という行為は、理解はできますが、まったくの無駄、むしろ「害悪」と言っていいでしょう。

現在はスマートフォンに各種の「防災アプリ」をインストールされている方も多いと思います。これらのアプリに配信される情報は内閣府や気象庁など、信頼できる発信者から提供される情報ですので、最低1つは入れておいた方が良いと思われます。

災害対策というと食糧備蓄や建物の耐震工事など、とかくハードウェア面が注目されがちです。しかし正しい情報を的確に入手し、その情報を正確に判断するというソフトウェア面も、普段から備え、練習しておくことも非常事態には有効だと考えます。

本日は防災の日です。今日実行したことが「未来に起こる危機」を助けてくれます。

園長 橋本貴志


追記:
災害時には電話の発信制限が行なわれますが、インターネット通信は制限されにくいため、音声や文字で連絡が取り合えるツールをインストールしておくと良いでしょう。現在では音声通話にも対応したアプリが多数(LINE、Facebookメッセンジャー、SLACK、Skype、FaceTimeなど)あります。ご家族間や普段は離れている親戚・友人知人との安否確認のため、緊急時の連絡方法を確認しておくのも良いでしょう。(LINEは東日本大震災の際、電話の発信制限があったことに着想を得て開発されたものだそうです。)
今井保育園からの連絡もインターネットを利用したものになっています。


参考資料: