初めての場所で不安な気持ちを持っているお子様、それを同じようにハラハラして見守る保護者様、その両方に一日も早く、安心感と信頼感をお持ちいただけるよう、職員一同しっかり保育してまいります。
平成30年度がはじまりました。「平成」という元号が用いられる最後の年度です。時代が代わる、そんな予感を持つのは少し感傷的でしょうか。
今年度より、保育園の運営方針を定めた『保育所保育指針』が10年ぶりに改定されました。この10年における研究と実践の成果が盛り込まれ、「よい保育」の定義が大人の都合に合わせたものから、「子どもにとっての良い環境づくり」に変化していることが理解できる内容になっています。
10年前には最新知識であった情報も、今となっては誤りが見つかり、新発見に道を譲ることになります。保育についても同様で、昔正しいとされていたことが今では否定されていることもしばしばあります。
一例をあげると、昔は「おむつは早めにはずしたほうがいい。トイレの習慣を身に着けさせるためトイレトレーニングで練習させる」とされていましたが、今では「おむつは子どもの発達を見ながら、本人の意思を確認しつつ外す。トイレトレーニングはトイレを使うことになれるためのもので、強制しない」とされています。
このギャップは子育て世代と祖父母世代の子育て観の違いとなって現れています。これを埋めようと「祖父母手帳」が各地の自治体から発行されています。有名なところでは、全国でも先駆けて公開されたさいたま市の祖父母手帳があります。
私たちは自分が育てられたように子育てしようとしますが、実はそうやって受け継いだ「親世代の子育て」には納得していないこともしばしばあります。しかし、いずれ自分が大人になればわかるだろう、と矛盾を受け入れようとしますが、実際はやっぱり納得できていないことが多くあります。
子供の頃に行なった「いたずら」は「自分が確かめたいことの実験」だったはずです。大人の「邪魔」となる行いは「お手伝い」だったはずです。否定された「嫌いな食べ物を食べない」「お昼寝をしたくない」などの気持ちも、子ども自身が考えた結果だったはずです。
これらの「自分の気持ち」を受け入れられることで、「自分を受け入れてもらえる」自己肯定感が育っていきます。自己肯定感がなければ、その後に続く「何かを達成しようとする気持ち」自己実現観は育ちようがありません。
子どもに最初から備わっている能力を伸ばす。その為には大人が子どもを引っ張るのではなく、子ども自ら育とうとしている様子を見守る必要があります。子どもにとって見守られることは「安心」と「自分への信頼」を確信させるものです。
自ら考え、壁にぶつかり、それを乗り越え、目的を達成できるようにするため、私たち大人は安易に手助けをせず、ハラハラしながら子ども達を見守っていなくてはなりません。失敗して落ち込む子どもを受けとめて、次の挑戦に向かう勇気が湧いてくるまで一緒に待つ、それが大人ができる唯一のことなのではないかと考えています。その大人の態度が「安心」と「自分への信頼」を裏付けます。
「子育ちを守る」を当園の保育目標に据えてから今年で5年目です。