NHKスペシャル「ママたちが非常事態!?

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 今年の初め、『NHKスペシャル「ママたちが非常事態!?」』という番組が放映され、5月には第2弾が放送されるほど反響があったとのことです。

番組紹介文:
「現代ニッポンのお母さんたちが、いま子育てに深刻な悩みや不安を抱え、悲痛な叫び声をあげています。助け合いたい夫に対しても、出産後はなぜかイライラが止まらず、離婚の危機も。頼れる相手もない母親たちが結びつきを求める「ママ友」は、日本特有の社会現象として世界からも注目されています。なぜ母親たちは、これほど育児に苦しめられているのでしょうか?
 その原因を最新科学で探ると、意外にも、人類700万年の進化にまでさかのぼる、子育ての知られざる真実が見えてきました。」
(番組ホームページより)

 番組の中では「なぜママは子育て中に不安や孤独を感じるのか」「なぜ赤ちゃんにはイヤイヤ期や夜泣きがあるのか」「なぜパートナーに対してイライラするのか」等の話題を取りあげ、現在の科学で判明したことを紹介しています。

 なぜママは子育て中に不安や孤独を感じるのか。
 胎児を育むために分泌される「エストロゲン」という女性ホルモンは出産直後から急激に減少します。すると、強い不安や孤独感を感じるようになります。「一緒に子育てする仲間が欲しい」という気持ちになり、自分の子もよその子も一緒に面倒を見たり見られたりという「共同養育」を行ないたい、と思うようになります。
 ですが、現代日本では近所に同じような状況の人がいたとしても、交流があるとは限りません。これが「ママ友」という存在を作っている、ということでした。
 不安や孤独をやわらげる存在を求めるのが「人間本来の子育て」なのですから、これらを感じるのはごく自然なことといえます。

 また、なぜ赤ちゃんにはイヤイヤ期や夜泣きがあるのか、という話題には、乳幼児の脳は「前頭前野」という衝動や欲求をコントロールする部分が未発達であるため、という解説がありました。
 脳は10年以上の時間をかけ、ゆっくりと成長していくので、本能的な衝動を作り出す部分が先に完成し、その後に「前頭前野」が完成するこのタイムラグによって発生するのが「イヤイヤ期」「夜泣き」です。
 脳の発達によるものなので成長を待つ以外にはなく、大人がコントロールできるようなものではありません。

 最後に、なぜパートナーに対してイライラするのか。
 授乳中によく分泌され、愛情を強く感じるようにさせる「オキシトシン」というホルモンは、「他者への攻撃性」を高める作用も持っていることがわかったそうです。育児に非協力なパートナーは「他者」として認識され、そういった存在が身近にいることを脳が危険と判断するため「イライラ」につながっていく、とのことでした。
 こうならないようにするためには、パートナーの「寄り添い」が有効な手段だそうです。「子育ての仲間」であると脳が認識するような行動、例えば一人で奮闘するママへの理解を示す言葉がけや、相談や心配事を親身になって聞く、などが「イライラ」を抑え、パートナーへの信頼感を強めていくことになる、とのことでした。

 我々の先祖である猿人がチンパンジーと進化上で枝分かれした
700万年前から、ずっと続いている人間本来の子育てがここ数十年で様変わりしてきました。そのために良くなった部分もありますが、上記のように気づかないうちに苦しんでいるところもあります。
 あくまで生物としてのヒトの特性であり、一人の人間が努力でカバーできるものではありません。パパ達には、ぜひママへの寄り添いの気持ちを今までよりも、ほんの少し多く、行動に移していただければ幸いです。

NHKスペシャル ママたちが非常事態!? ~最新科学で迫るニッポンの子育て~ | http://www.nhk.or.jp/special/mama/qa.html
NHKスペシャル ママたちが非常事態!?2 ~最新科学で迫るニッポンの子育て~ | http://www.nhk.or.jp/special/mama/qa2.html