子どもの成長を語る上で、「1000日」「100ヶ月」という期間が言われるようになりました。
「1000日」というのは妊娠から数えての1000日間、2歳ごろまでに栄養不良になると、その後に栄養を取らせても、改善できない発達への影響が残る、という説から言われる期間です。
「100ヶ月」は以前のコラム(2024年12月の園だより)でも触れた、妊娠から小学校1年生の終わりまでを途切れなく支援を行なえるようにし、ウェルビーイング(身体も心も健康で希望を持てる状態)を実現する「はじめの100ヶ月育ちビジョン」で提唱されるものです。
以前は国や行政機関の区切りである年度単位で考えていたことが、子どもの生まれたタイミングを基準として考えられるようになりました。
これは戸籍や住民票などがデジタル化したおかげで、マイナンバーを使って比較的容易に個人情報を参照できるようになり、医療情報をデータベース化できるようになったことが大きいと思います。
紙の書類で管理していると、後から検索するのは容易ではありません。しかしデジタル化していれば、いとも簡単に情報をさかのぼり、さまざまなデータと関連付けることもできますし、関係機関と共有することも可能です。
より多くの事例が集まることで仮説が証明されたり、新たな傾向が発見されたり、よりポジティブな変化が起こる可能性が上がります。
1000日とか100ヶ月という、強く明確なメッセージとして呼びかけることができるようになったのも、このおかげと言えるでしょう。
東京都は行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進し業務の効率改善と利便性の向上を目指すとしており、外郭団体に「GovTech(ガブテック)東京」を設立して自分たちでシステム開発を行なっています。中でも子どもに関わるDXを優先的に行うとして、今年度から保育園の利用に関するDX化を最優先に開発しているとのことです。
IT化・DX化と言われる際にポジティブなことよりも、怖がらせるようなネガティブな話を聞かされることが多い気がします。しかし、すでに私達の生活に深く関わってきているものですので、より便利に活用できるようになりたいものです。
園長 橋本貴志