「スマホに育児をさせないでください」
最近、このような注意書きを良く目にするようになりました。
私たち親世代が子供の頃には未来の道具だった「テレビ電話」や「携帯できる小型コンピュータ」が現実になったとも言えるスマートフォンは、今の子ども達にも魅力的に映るようです。
楽しい魅力的なものに夢中になる子どもに親が不安になる、というのは古今東西を問わないようで、その気持ちの現われが上記の注意書きが出現した理由と考えられます。
注意書きには説明も添えられ、「子どもには刺激が強すぎる」「放ったらかしでコミュニケーションが不足する」などデメリットが強調されます。
しかしよく確認してみると、デメリットの多くは親の行動が問題とされていることに気付きます。
子どもにスマートフォンを使わせなくても、親が子どもの言葉に耳を傾けず、自分の都合を優先したり、条件付きの愛情(「◯◯したら認めてあげる」というような態度)を示し続けると、子どもは愛着の形成がうまくいかなくなり、不安定な心理状態になります。
そこにはスマートフォンを使う・使わないはあまり関係ありません。父親でも母親でも効果は変わらないので、子どもと向き合う大人の姿勢のお話です。
以前うかがったお話に「子どもに携帯を持たせなければ、SNSなどで犯罪に巻き込まれなくなるのだから、一律禁止すべきだ」というものがありました。
それに対し私からは「SNSで犯罪に巻き込まれる子どもは、悪い大人と知っていてもその言葉に頼りたくなるくらい、普段の生活における大人からの愛情や承認が不足していると考えられます。携帯を取り上げても、また他の方法で近づいてくる悪い大人に関わってしまう。それよりも今、私たちが周りの子ども達にあたたかい愛情を示してあげることのほうが、犯罪に巻き込まれなくできるのではないでしょうか」と申し上げました。
テクノロジーは日進月歩であり、それらを利用しているからこそ、次の未来が創造できます。スマートフォンという新しい道具を遠ざけるのではなく、本当に大切にしなくてはならないことを守りつつ、より良い未来になるように関わる環境を作るようにすることが、大人の役割と言えないでしょうか。