春の風物詩?

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新年度が始まり、早くも4月も終わろうとしています。
新しいお部屋に最初は戸惑っていた子供たちも、今の環境に馴染んできたようです。

新しい環境というものはまだ幼い子供には不安の材料となります。
今井保育園では保育士の関わり方だけではなく、前年度の担任の持ち上がりや、前任者からの申し送り、成長・発達に合わせた保育室の環境整備などで、なるべく子供たちの不安の材料を少なくすべく検討しています。

しかしそうであっても完全に安心できるわけでもなく、4月は各お部屋から泣き声が聞こえてきます。
保育園の春の風物詩、と言われることもある子どもたちの泣き声ですが、いつしか泣くことがなくなります。ああやっと泣き止んでくれた、とほっとする一方、なぜ泣くのをやめてくれたのか、と考えることがあります。

1.新しい環境に慣れた
2.泣くよりも楽しいことが見つかった
3.あきらめた

多くは1・2なのですが、どうも3なのではないか、という心配がある場合もあります。
このお子さんの心の中を察すると、「何ここ? 誰あなた? 怖い! 泣いて不安だと伝えよう!」→「泣いてもママ/パパが来てくれない! 聞こえないのかな? もっと泣こう!」→「全然来ない…泣いても意味が無いのかな…」と諦め、そうしてしばらくたってから「…保育園も楽しいかな」と感じてくれた、ということかもしれません。

泣いているお子さんは、不安を訴えている、「傷ついている」状態と言えます。その上「あきらめてしまった」子は、大怪我を負ってしまった状態と言えます。
病気にかかったとき、病状が進行してからの治療と、かかり始めでの治療では治る時間が大きく違うだけでなく、その後の健康状態にも大きな違いが生まれます。
同じように「あきらめた」子供に保育園が楽しく生活する場所だ、と信じてもらえるようになるには、大変な労力をかけなければならない、と言えるでしょう。

そこで今年度より保護者様のご協力を得て、不安の強いお子さんと一緒に保育室で過ごしていただく取り組みを実施しました。いつもは泣いていたお子さんもママが近くにいてくれる安心感から遊びに関心が移り、時には笑顔が出るなどリラックスした様子で過ごすことができました。不安だけだった保育室が楽しいこともある場所と認識してもらえたようで、その後は少しずつ落ち着いた様子を見せてくれています。
1回だけで大きな効果がある場合もあれば、何度も一緒に過ごして頂く必要がある場合もあるでしょう。しかし不安を訴えているお子さんに早く諦めてもらうのではなく、早く安心してもらうことで、傷つく時間が短くなり、安心して保育園に通ってもらえるようになります。

また「つられ泣き」と言って、泣いている子がいると一緒に泣いてしまうお子さんの気持ちも無視できません。今までの認識では「泣いている子がいるから一緒に泣いてしまう」と考えられていましたが、「泣いている子がいるよ? 悲しそうだよ? なんとかしてあげて」と大人に伝えたくて泣いていたのではないか、とも想像いたします。

子供たちの優しい気持ちを、ひとつでも拾い上げていけるようにしたいと存じます。