もうはまだなり、まだはもうなり

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ご入園・ご進級、おめでとうございます。
平成29年度がはじまりました。「子育ちを守る」を当園の保育目標に据えてから今年で4年目です。人生の土台を作る時期である0才~6才という大切な時期の一年を、子どもの育つ力を信じ、寄り添えるよう努めてまいります。

「もうはまだなり、まだはもうなり」という格言があります。元は投資のコツを言ったもので、売り時買いどきの難しさを表しているのですが、子どものことを考える時にも言えるのではないかと感じます。

私には6才と3才の娘がおります。上の子が生まれる前にぼんやり思っていたのは「男親(おとこおや)はどのように育児参加するべきなのか」ということでした。「育児は母親がメインであり、父親はサポートするもの」という思い込みがあり、まるでバイスタンダー(救急現場に居合わせた人)程度にしか考えていなかったということはお恥ずかしいことです。

ただ、周囲の父親となった人たちの話を聞く限り、私が思っていたことはむしろ多数派で、「父親の出番は乳幼児期ではなく、もっと大きくなってから」という考え方は常識化しているようです。
しかし子どもができた瞬間から「父親」になるのですから、「まだ」出番は後、ではなく、「もう」始まっているといえます。父親・母親という役割はなく、子どもにとっては「親」という点ではまったく同じです。

長女が生まれた後、ある書籍を読んでいましたら「信頼残高」という言葉に出会いました。
信頼とは貯金のようで、引き出してばかりだとあっという間にゼロになり借金することになる、日頃から積み立てるように信頼される行動を取らなければ、どんな理由があっても言い訳にしかならない、といった内容です。
「大きくなってから」子ども達と向き合う時、子どもはこちらを信頼してくれるのか? その信頼はいつから「貯金」したものなのか? 乳幼児の時から積み立てるものなんじゃないか? そもそも乳幼児期の信頼残高がなければ「大きくなってから」の関わり自体できないのではないか? と思いあたりました。
「まだ」小さいから「まだ」早い、ではなく、「もう」信頼しあう間柄にならなければならないのでした。

ひとりの人間として、子ども達と向き合えるよう、年度のはじめに自戒したいと思います。