保育について語り合う

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平成28年が暮れようとしています。
区切りとなるタイミングで一年を振り返りますと、今年も色々なことがあったなぁ、と感慨もひとしおです。
年末の慌ただしいときこそ余裕を持っていなければならないのですが、やはり気が急いてしまいます。

そんな折、このコラムにもよく登場する東京家政大学ナースリールームの井桁容子先生にお誘いいただき、23区のある保育園の園長先生とともに、保育について語り合う会に参加いたしました。
大ベテランの先生方にまじっているだけで大変勉強になったのですが、その際に話題となったのは「年長児中心の保育」です。

昔ながらの保育と言いますと年長児が基準となって、年中児より下のお子さんはその準備期間と考えられてきました。これを「年長児中心の保育」と言っています。
この「基準」というものがくせ者で、実際には「年長さんにはこうあって欲しい」という大人側の願望をあてはめているのではないか、ということが語られていました。

考えてみれば人間の成長は生れた瞬間から始まっていて、その積み重ねが年長児となった時の様子になるわけなので、逆算して計画を組み立てたところで実際にその通りになるよう成長させていくというのは無理があります。
それよりも、子供の様子をじっくりと観察し、何に興味があるか、何を求めているのかを知ろうとすることを積み重ね、肯定的にとらえていくことで、その先にある成長の様子を思い描いていくほうが、より真実に近づけるのではないかと考えられます。

保育園では「去年の◯◯組さんではこうだった」と前年の様子を参考にすることがあります。しかし、「去年の◯◯組」と「今年の◯◯組」はまったく別の子供達なので、経過も結果もすべて異なるものになるのは当たり前のことです。
もしこれが「去年の◯◯組さんはこれくらいできたんだから、今年もできて当然」と期待するなら、後になればなるほど練習や準備が増え、子供達にとって苦しいものになってしまいます。

いま目の前にいる子供達をよく観察し、いま私たちができることを考える。
来年もこの姿勢を貫いて、子供達に寄り添っていきたいと思います。