麻疹(はしか)が流行しはじめています。2007年に麻疹が流行した時には複数の大学が休校するなど、ちょっとした騒ぎになりました。
かつては義務とされていた予防接種ですが、ご存知の通り現在では「努力義務」となっています。この努力義務第一世代が大学生になったのが2007年でした。
免疫を持たないまま大人になって麻疹に感染し、さらに感染者を広げてしまうパンデミック(伝染病の大流行)が起こるのではないか、と心配されていました。
義務だった頃、予防接種は摂取しない場合は罰則もあるという厳しいものでした。
それが努力義務ということになったのには様々な理由があるようです。その中には「予防接種は副作用が出たらおそろしい」という恐れる気持ちもあると考えられます。「日本国内は衛生的だし、予防接種が大きなリスクになるなら必ずしも行なわなくて良い」ということです。
しかし病気になる・感染源になるというリスクは変わらずあるわけで、それをどう考えればいいのか、悩ましいところです。
最近、早野龍五先生(東京大学教授)と糸井重里さんの共著『知ろうとすること』(新潮社 平成26年10月1日発行)という本を読みました。内容は福島第一原子力発電所事故による放射性物質の影響をどのように捉え、リスクを減らしていくかというものですが、予防接種についてのリスクを考える上でもヒントになるような内容でした。
科学は常に進歩していて、かつてわからなかったことも随分わかるようになってきていています。「事実」を「知ろうとする」ことで、様々な心配や恐れから開放されます。この場合の「事実」とは人によって受け取り方が変わるものではなく、数値のように誰が見ても同じものを言います。
事実を積み上げることで、本当に恐れる必要のあるもの/ないものを正しく知ることができる、そんな内容でした。
正しい事実を知ることで、リスクを過剰あるいは過小に考えず、心配や恐れを遠ざけることができます。学ぶことの大切さを改めて知らされた思いでした。
【予防接種制度について 東京都福祉保健局】
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/yobousesshu.html