子育ちを守る(平成28年度版)

ご入園・ご進級、おめでとうございます。平成28年度がどのような一年になるか、お子様の成長を今から楽しみにしておられることと存じます。
人生の土台を作る時期は0才~8才と言われております。その内の大切な1年間を一緒に過ごさせていただけることを何よりもの喜びとして、職員一同、お子様に寄り添って参ります。

さて、今年度最初のコラムですので、今井保育園の保育を紹介させていただこうと思います。
当園では「子育ちを守る」を合言葉に保育を考えています。これは「子どもは自ら育つ力を持っている。大人はその育つ力を信じ、援助することしかできない」という考えを出発点として、育とうとする力を守る「見守る保育」を目指す、というものです。

今井保育園では、0才~2才を「3才未満児」、4才~6才を「3才以上児」と読んでいます。「3才未満児」期は「自己肯定感」、「3才以上児」期は「自己実現感」が育つ保育を目指しています。
自己肯定感とは「私は生きていていいのだ」という感覚で、保護してくれている大人からの無条件の愛情が作り出すと言われています。
そして自己実現感(この言葉は今井保育園独自のものです)とは「私は何かを実現できるのだ。たとえ何度失敗したとしても。」という感覚で、自ら考え、選択し、決断することを繰り返し行なうことで備わっていくと考えられるものです。

さらに詳しく。
自己肯定感は「2才までの課題」をこなすことで獲得できる、と言われます。「2才までの課題」とは大人からの「私はあなたを無条件に愛している」という体験を積み上げるということです。条件をつけて愛情を与えるようなこと、例えば「◯◯したから良い子」「××したら△△していい」というような条件をつけてはいけない、と言われています。
0~2才の時期は様々な「いたずら」をします。この「いたずら」は「大人から見た時に望ましくない行為」ではありますが、子どもからすれば「興味を持ったものに対する観察や実験」です。この行為を「無条件の愛情で良きものとして捉え、許してくれる大人」の存在が、自己肯定感を育てます。
ものをなめる・かじる・放るなどの行為から始まり、座る・立つ・歩く(走る)などの動作、そして最後は「おむつをはずす」という決断に至るまで、子供本人にすればすべてが実験なのです。
その間大人はひたすら耐えるしかない、という訳ではなく、どうしても止めて欲しいことについて「あなたが実験しているということは理解するけど、その行為は好きじゃないな」という気持ちを伝えることはできます。一方的な押し付けではなく、一人の人間としての対話をするつもりで伝えると、子どもも考えてくれるようです。

3才を迎えると「社会性の芽生え」が始まります。「私」だけの認識だったものが、社会性が備わると「私とあなた」という人との関わりの中で自分が存在すると理解し始めます。この頃から他者の気持ちを考えて行動することができるようになると言われています。
このタイミングから幼児期の「自己実現感」の成長が始まります。
なんだろう・なぜだろうという疑問を持つ、あるいは、やってみたいという行動への欲求がおこるなどして、それを解決するために自ら考え、選択し、時には友達の力を借りたり真似をしたりして、最後までやり通したり、諦めたりします。これを何度も繰り返すことで自己実現感が育っていきます。
もっとも大切なのは「諦めることを許してもらえる」ことです。我々大人は「始めたことは最後までやり通さなくてはならない」と教育されていますので、なかなか諦めるのを許すことができません。しかしそれは「自分が好きなことを、自分でやろうと決める」ようになってからの話であり、これができるのは9才以降とされています。つまり保育園にいる子ども達はまだまだ「決めることの練習」をしているに過ぎません。
一度諦めたとしても、また後に(翌日かも知れませんし、1年後かもしれませんが)再び挑戦を始めるかもしれません。
何度でも挑戦し、諦め、また挑戦する、ということを何度も繰り返すことで、自分は途中で失敗したとしても目的を達成できるのだ、という自信を獲得します。この間に失敗を許してくれる大人の「無条件の愛情」は、自己肯定感を育てる時と同様、最も大切な条件となります。
自分の挑戦ができる子は、友人の挑戦を応援することもできるようになります。協力しあうことで一人では成し得ないことにも近づけることに気づくのです。

これらを踏まえ、今井保育園の保育を組み立てています。
子どもが自らを生きていていいのだと認め、疑問を見つけ解決しようとし、何度失敗したとしても諦めずに挑戦することができると認識し、また友人と力を合わせて何度でも試行錯誤していく勇気を持てるようにしたい、と考えています。

もちろん、これらの事にもっとも大きな影響を及ぼすのは保護者様の存在です。保育園はあくまでその援助をするに過ぎません。また人間の発達にはまだ未知の部分が多いため、上記の内容は現時点で「確からしい」事を選択しているため、今後「より確からしいこと」が見つかれば、変化するものでもあります。
慈しんで育てられているお子様たちと向き合い、その日々の成長を保護者様と喜び合えたらと思います。

それではこれから一年間、よろしくお願いいたします。

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