正しい食事?

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 5月下旬になって、風邪を引きました。
 この風邪がたちが悪く、悪寒から始まり熱が上がる、というところまではいつもの症状だったのですが、背中に発疹ができて痛み始め、それにともなって体を動かすこともままならないようになり、5日間は食事も取れずに過ごす、というひどい有様でした。
 食事が取れないと体重が落ち、声を出すだけで息が乱れるほど体力がなくなりました。食事が生きる上でどれだけ大切であるか、身をもって知る良い機会となりました。

 私たちは毎日ご飯を食べます。そこに含まれる栄養素を吸収して、日々細胞を作り替えたり、運動するエネルギーにしたり、脳を働かせています。保育園の給食は栄養バランスを考え、旬の食材を吟味し、栄養を取りやすい調理方法を考えて作っております。これをご家庭でもやっていただければ…と考えないではないですが、実際のところ、いろいろ工夫したいけど時間がない、というのがご事情と思います。
 育児書やTVのニュースなどでも「食育」が語られはじめて久しく、その文脈では「今の家庭は食事を大切にしていない」という内容で話題が展開します。しかし、そうでしょうか? 子どもに何を食べさせるか興味が無い、一緒に食べる時間を作りたくない、という親はいないと思います。「正しい食事」を考えるあまり、その姿に近づけないなら一律にバッテンをつける、ということでは「大切な人のことを考えて作り、食べる」という食事の楽しさを失わせてしまうのではないでしょうか。

 玉川大学教授の大豆生田啓友(おおまめうだひろとも)先生からお話をうかがった際おっしゃっていたのが「私はイライラして出される栄養満点の凝った料理より、食卓にファストフードが並んでいても親がニコニコ楽しそうにしているほうが、子どもの栄養になると思うんです」ということでした。
 なにも三食ファストフードにしてもいい、ということではないですし、そのようにするご家庭はないと思いますが、食事という命の原点になる時間は、その楽しさを含めて子どもの体を作っていくことになると考えられます。

 大切な人との時間を大事にしたいですね。