「好き嫌いせずに食べなさい!」
「いつまでやってんの! さっさと準備しなさい!」
上は食べ物をなんでも食べられれば健康な体を手に入れられるからという親心。
下は遅刻して先生などに怒られないようにするための親心。
どちらもわが子を思う気持ちから出ている言葉。
の、はずです。
しかし声をかけられた方の子供からすれば、どうでしょう。
「おいしくないのになんで食べなきゃいけないの?」と食事の楽しみが半減します。
「楽しく遊んでいるのになんでやめなきゃいけないの?」と止められたことには納得しません。
結局、好き嫌いはなくならず、お出かけの準備は進みません。
本当に欲しいものは手に入らず、目的は達成できずに終わります。
なぜ食べないのか? その食べ物が好きじゃないから
いいことと悪いことの区別は、1才児でも判断できています。
やっていることは、たいてい良かれと思ってやっています。
ところがまだまだ経験不足、夢中になりやすい子供の性質で、保護者が考えているようには動いてくれません。
そこで冒頭の言葉が出てしまうのですが、保護者もギリギリまで我慢しているので、ついつい言葉が強く出てしまいます。
それは逆効果であることは、もうすでにお分かりになっているのではないでしょうか。
なぜ食べないのか? その食べ物が好きじゃないからです。
どうしたら食べられるようになるのか? 好物にならなければ食べません。
なんで遊びをやめないのか? 楽しいからです。
楽しみのあることは積極的にやりますが、そうじゃなきゃやらない、大人も子供も違いはありません。
「がんばって」食べさせようとしたところで逆効果
みなさんは無理強いされたものを好きになりますか?
知らなかったものを教えてもらって好きになることはあっても、無理矢理ねじ込まれても好きになることはないと思います。
私は梅干しが苦手でした。シソの味がなんとも嫌で、よく祖母から食べるようにすすめられては「まずい! 嫌い!」と拒否していました。
ところがある日、梅のおにぎりしかない状況で空腹に耐えられず口にしたところパクパク食べられてしまい、それからは梅嫌いがなくなってしまいました。
他にも、おそば、パクチー、らっきょうなど、子供の頃には食べられなかったものが、「あれ? おいしい!」というきっかけで、まったく問題なく食べられるように(むしろ好物に!)なりました。
逆に、一度として「これおいしいから食べてごらん」という大人の勧めで食べたものをおいしいと感じたことはありません。
優しく勧めたものでもこれです。「がんばって」食べさせようとしたところで逆効果です。
子供は大人から優しくされるのが大好き
子供は大人の真似をしたがります。
野菜をおいしそうに食べている大人を見ると「僕も(私も)たべたい!」と思って手を出してきます。
また子供は大人から優しくされるのが大好きです。
おだやかに「ママはそれ嫌いだな」「パパ、こうしてくれると、うれしいな」と言われると、子供は言うことを聞きたくなります。
ギリギリまで我慢して(チャンスを与えて)いるつもりでも、叱られる方にとっては突然です。
むしろギリギリまで待つことなく、早い段階から上のような言葉をかけるようにすることをおすすめします。
だんだんと、もっと喜ばせたい! と自分から食べたり、動いたりするようになります。
ぜひ、やってみてください!(と、無理強いしてはいけませんね。)